「マジコン」のニュースを読みながら、ゲーム業界の違法コピー対策について考えるお話。
Yahoo!ニュース 2月27日13時41分配信 産経新聞
難しい問題ですが、音楽の違法コピー問題と構造が全く同じです。同じということは数年後の状況も音楽業界と同じになるのでしょうか?となると、衰退でしょうね。間違いなく。
それにしても、違法コピーのDL数×平均単価=被害額 って成り立たないでしょ?ちょっと考えれば、判る話。真に受けたらいけない内容ですよね。新聞社もそうした視点もあわせて配信して欲しいモノです。
違法コピーで遊ぶ人も、ゲームのハード(つまり今回はDS)は持っているわけですよね?DLして遊んでいるゲームソフト、もし、タダで入手出来なかったら正規購入しているか?といわれれば、おそらく多くの人は購入していないでしょう。上記は、DLされた分が「本当は正規購入されていたはず」という仮説の元の被害額計算です。これは、ちょっと都合が良すぎ。
いつだか、ナップスターの時に書きましたが、無料だから聞く、そして気に入り、ちゃんと購入する音楽もあるわけです。一定数の無料配布は、市場の拡大につながると考えます。
この問題は、ネットで不特定多数にばらまく行為を厳格に規制さえすれば、それ以上の対策は不要だと思います。
思い返せば、小生が小学生時代、ファミコン全盛期、ファミコン本体はほとんどの家庭にあったと記憶しています。でも、ソフト(つまりカセット)は、当時3000〜5000円して、そうそう頻繁に買ってもらえるようなモノではありませんでした。どうしていたか?多くの人が経験があると思いますが、友達同士での貸し借りが横行したわけです。クラスに1人や2人はお金持ちの家ありませんでした?鬼のようにファミコンのカセットを持っている。それが胴元になってましたよね。
もし、タダで手に入れて遊ぶことが違法ならば、当時、友達から借りて遊ぶことも違法。上記ニュースの被害額試算は、この当時の借りて遊んだ人も本来はちゃんとカセットを購入していたはずだという理屈になります。買いませんよ。タダで借りられるから遊ぶのです。それと一緒。
音楽業界、特に大手レーベルは、違法コピーの取り締まりに躍起になって、アーティストの育成、質の向上が後手になった。結局、新たな需要も生み出せず、過去の作品のリニューアルやベスト盤の乱発でもう、瀕死状態。
ちゃんと欲しいモノはちゃんとお金を払って買うそんな層をないがしろにした結果です。
無料でなんて、違法に入手できるルートにたどり着ける一部の層。そうした層は、総じて時間がある場合は、低所得層。お金がある人はそんなことに時間を費やすほどバカじゃないのです。
かくいう自分も、大学生時代、2000年前後は、音楽はDLしてCD-Rに焼いていました。(当時は、国内サイトに、mp3がUPされまくってましたよね。懐かしい。)でも、今は、そんな事をしている暇はないので、欲しい音楽は買います。まぁナップスターを使うようになって、購入頻度も激減しましたけど。
同様にゲーム業界でも、例えばDSは、これまでゲームをしなかった層をうまく取り込んだことが成功要因ですよね?小生の親がDSを購入していたことには本当に驚きました。
団塊世代の人たちはお金を持っているのです。そうした層が、こぞって違法ダウンロードでゲームを手に入れ遊んでいるとは到底思えません。
ということで、ゲーム業界はマジコンごときにイライラして、対策に不要な時間とお金を投下せずに、最低限の法規制をかけた後は、ビジネスモデルそのものの革新と、より良いソフトの開発に専念すべきだと思います。
大体、パッケージ商品として小売店でソフトを購入させる流通構造だから、コストがかかるわけでしょ?パッケージで欲しい人は高価でも買うから相応の価格にして、あとは安価にオンラインダウンロードにしてしまえば良いのです。そしたら、流通コストがなくなるわけですから。wiiで、昔のソフトを安価にネットでDLできるサービスなどはそれですよね。
そして、時間とともにオンラインでの販売価格も下げていくべきでしょう。そしてさらに一定期間が過ぎたら、ナップスター同様、定額で遊び放題にしてしまうべき。
何よりも重要なのは、ゲームに時間とお金を費やす消費者層を増やすこと。はじめは時間つぶし程度の入り口で遊ばせ、ゲームの魔力にはめ、積極的に消費するよう育てていくことこそ重要なのです。マジコンのような問題に躍起になることは、本末転倒、自分自身の首を絞める結果になるわけです。多分、ゲーム業界の賢い人たちはそう考えているはず。
※但し、中国における違法コピーについては、厳格に対処すべきだと思います。文化とゲーム市場の成熟度が違いすぎますので、上記までの考え方など理解されないはずですから。
「上記は、任天堂ならOKだけど、ソフト開発専業の企業は苦しいじゃないか!」という話もあるかと思います。長らくゲーム業界で生きてきたソフト開発専業企業は反発するでしょうが、時代の流れにあわせ変化できなければ、それまでということで割り切るべきでしょう。
任天堂もソフト開発のしやすい仕組みで、開発環境を公開して、誰もがソフトを作れるようにしておく。そして任天堂が、例えば一定以上売れたら、その作者にインセンティブを支払うような制度にすれば、頑張って面白いソフトを作ろうと意欲を燃やす人は勝手に出てきますよ。そして次なる大ヒット作の芽は自ずと育ってくるでしょう。
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余談ですが、
ファミコンカセット、自分は誕生日やクリスマス、お年玉やお婆ちゃんの家に行ったときなど特別なときにしか買ってもらえず、ゆえに買ってもらえる時は、悩みに悩み厳選してカセットは買っていたわけです。でも、期待して買ったのにちっとも面白くなく(つまりクソゲー)後悔しまくりという経験を重ねました。例えば、トランスフォーマーや、スペランカーなど。こうした経験は大人になってから、懐かしい想い出であり、役立つわけです。いろいろと。
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