1月12日の「仕組み革新」の授業は明治学院大学の小野先生による「ナビタイム・ジャパン」だった。


この「仕組み革新」は比較的新しい成長企業をケースとして扱ってくれていて、非常に面白い。
ちなみにケース教材は関連する新聞記事や雑誌記事など。

実際に90分の講義がどのように進められるかをちょっと説明すると、

初めにナビタイムの事業概要(当然、単に会社概要を確認するのではなくて、メイン顧客は誰か?どのような価値を提供しているか?なども含んで)全員で整理したのちに

・ 何故、ナビタイムは成長したのか?
・ 今後、成長するためにはどうすればよいか?


という2点を議論。
先生は講義するというより、ファシリテーションするという役割です。

後半は、答えの無い世界なので、参加している人がそれぞれの見解を発表する中、先生が議論のコントロールするわけです。

そうなると、先生の立ち位置や、質問や、テンポが非常に重要なポイントです。
参加の学生の議論が盛り上がるかどうかは先生の力量が問われる感じがしています。

ちなみに、今回のナビタイムは大いに盛り上がりました。

せっかくなので、上記の2点について自身の授業時の見解を以下、簡単に記載しておきます。


◆何故、ナビタイムは成長できたのか?


今では当たり前になっていますが、あらゆる交通手段を網羅してのルート検索が出来るようにしたこと、そしてそれを可能にしたアルゴリズムが秀逸だった。(商品の強み)

月200〜300円という価格も良かった。(価格戦略)、初期にAUにEZナビウォークとして扱われたことことも成長要因(チャネル戦略)

その後、携帯のGPS機能の発達と、通信料金の定額制の定着(環境要因)それに合わせた形で、マス広告投下による圧倒的な認知度を獲得できたこと。(プロモーション)

といった理由になりますでしょうか。

◆今後、成長するためにはどうすればよいか?


色々な方法が考えられますが、月額費用をとるモデルは、今後厳しいと思います。

無料サービスの発達スピードは早いですからね。Googleなどが、ナビタイムと同等レベルの無料サービスが出てくるのも時間の問題かと予想されます。

一度、使い出すと慣れもあるので、突然に使わなくなることも、また、月数百円ですから、ほったらかして、解約しない人も一定数いるでしょうから、売上が激減することは無いと思いますが、これまで同様の顧客獲得は難しくなるでしょうね。

「サービスが良ければ、有料でも使われ続ける」としても、ある一定レベルまでくれば、どれでも一緒という状態になりますので、顧客獲得が鈍化すれば、あまりお金を掛けた販促もできなくなるでしょう。

そうなる前に、次の収益モデルを考えないと・・・

自分ならば、1つは、アルゴリズムを磨き上げて、Googleすら欲しがるようなレベルにして方向で考えます。

同様の路線検索サービスのエンジンは全てナビタイムが担うという形になり、ナビタイムはそのエンジンのレベルアップにのみ経営資源を投下していくという選択。

そしてもう1つは、ライフログをお金を払ってでも取得して、マーケティング情報として他社に販売して行くという方向。

移動ルート検索サービスではなく、携帯のGPS機能を使い、人の日々の行動をDB化サービスにしてはどうかと。日々の生活を記録していきたいニーズはある程度あると思われます。

ナビタイムは、そうしたライフログを提供してくれるユーザーには、お金を払ってでも取得し、それらをマーケティング情報として外部に販売。
個人が特定されないレベルで、属性情報と、移動情報などであれば、提供するという人も相応数いるのではないかと。

どうかな。ざっくり案なので、もう少し考えを深めてみる必要がありますが、ライフログの蓄積サービスは結構いけると思うのですけど。

また、別の機会に考えてみることにします。

NAVITIMEガイドブック (SOFTBANK MOOK)NAVITIMEガイドブック (SOFTBANK MOOK)
販売元:ソフトバンククリエイティブ
発売日:2009-04-02
おすすめ度:4.0
クチコミを見る

スポンサードリンク