内田先生の競争戦略研究の授業にて、グループ課題として、今後の薄型テレビの事業戦略について、SONY、SHARP、PANASONICの3チームに分かれ検討、プレゼンというグループ課題が出されていまして、12月から約1ヶ月、薄型テレビのことばかり考えていました。

プレゼンは先日終え、来週、内田先生からの講評を待つばかり。

自分はSONYチームでありました。その内容についてはまた機会改めて振り返るとしまして、そのソニーの新製品で、久しぶりに

「おおおおぉぉぉぉ!!!!!」

と思える商品が昨日発表されていたので、ちょっと考察。

その新製品は、PS3用の外付け地デジチューナー「Torne」

PS3に外付け地デジチューナー Torne (トルネ)、HDD 250GBモデル
engadget日本版 1月14日

ps3torne

機能詳細は上記WEBを見てもらうとして、要は、これがあればPS3がTV録画ハードディスクレコーダーになるわけです。
しかも、お値段が9,980円と非常にお手頃。

「え?それが、そんなに凄いこと?」
と思われるかもしれません。

技術的には別に画期的な事では無いと思います。

欧米では「PlayTV」という商品でPS3にハードディスクレコーダーの機能を搭載した商品を既に2008年に発売しています。

[参考]LGC07:プレイステーション3 PlayTV発表、HDDレコーダに
Engadget日本版 2007年8月22日


欧米で出していて、日本で何故出していなかったのか?それは、テレビを取り巻く日本の複雑な大人の事情があるからです。
例えば、著作権のこともありますし、B-CASとか、その他にも、B-CASとか、あと、B-CASとかですね。

CMスキップ機能がついた録画機が徹底的に叩かれてしまうような国ですからね。

何が「おぉぉぉ!」だったかというと、そういう大人の事情渦巻く中で、発表したことにです。

もともとテレビ関連については、ソニーはとってもアグレッシブな商品を出す会社だったのです。

全チャンネル録画可能な「Xビデオステーション」やテレビを便利に見るための機能てんこ盛りの「コクーン」や、「VAIO VIDEOエクスプローラー」などというソフトもありました。

いずれも、非常にチャレンジングな商品であり、その商品により不利益を被る可能性のある人や企業があって、大々的な広告展開を控えてしまう傾向にあります。

今回の「Torne」もこっそり発表している感じですよね。

テレビ局は自分たちの首を占めるような事は絶対にニュースなどでも報道しません。

ソニー自身にしても、ハードディスクレコーダーの事業部に取っては、迷惑千万な商品ですよ。

PS3+Toruneをセットで買うと、定価で42,800円。

SONYのハードディスクレコーダーは7〜8万円が相場。

しかも、このTorneは、後から買った外付けハードディスクをUSBでつなげれば、そこに録画できるというところ。
安いものだと1TBで1万円程度ですからね。

そんな拡張性を持たせるなんて、ソニーらしくないですけど、素敵です。

これからハードディスクレコーダーを買おうと考えている人にとっては、間違いなく買いでしょ。

Torneの発売でPS3はゲーム機としてではなく、AV家電として極めて競争力のある商品になってしまいました。

CELLレグザ潰しという見方も出来ます。 

今後、PS3はゲーム売り場ではなく、テレビ・レコーダー売り場に置かれる可能性がありますが、大人の事情で置かないでしょうね。

あと、大人の事情としては、おそらくこれは技術的な問題よりも、社内と業界に配慮した結果だと思うのですが、「Torne」は、BS放送の録画出来ないようです。

完全に自社のハードディスクレコーダー事業への配慮ですね・・・

完全に競合しない理由としてBSが録画出来ない事を選んだのでしょう。
あ、あと、今の時期に発表したものも、年末年始商戦に迷惑がかからないようにしたという、大人の配慮でしょうね。

いずれにせよ、こういう挑戦的な商品を出し始めたソニーの今後は明るい感じがします。
一気に日本のテレビ業界を変えて欲しいとおもう次第です。

余談ですが、ネットで関連する情報探していたら、「Torne」という名前は

Torne = トルネ = 録るね

という解釈をしている人がいましたが、そう解釈すると、PS3でTV番組も録るねという、やんわりとした宣戦布告ですね。

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