早稲田MBAに通っていた頃、科目は、マーケティング戦略系、競争戦略系、経営戦略系にほぼ絞っていました。
仕事をしながら学ぶにおいて専門分野に特化した方が効果的であり、そうして良かったと思っています。
他の専門分野において「履修すれば良かった」と思う科目を上げればキリが無いのですが、
「この先生の科目は履修しておけば良かった」と今も思う先生が2名います。
1人は、組織論が専門の谷口真美先生。
科目は専門に集中させる方針を建前に、超ハードといわれる課題が怖くて取らなかった、というのが正直なところ。
そして、もう1人の先生が、今回の「売り方は類人猿が知っている」の著者である、ルディー和子先生。
実務家から教授となられているお一人です。
※ルディー先生のブログ「明日のマーケティング」 http://newmktg.typepad.jp/
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著者:ルディー 和子
販売元:日本経済新聞出版社
(2009-12-09)
販売元:Amazon.co.jp
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これも長らくツン読していた1冊。
(正しくは、フォトリーディングはしたけど、精読はしていなかった1冊)
(大学院時代に購入してツン読している本、まだまだあります)
「売り方」とタイトルについていますが、具体的手法が載っているわけではありません。
動物の「本能」についてフォーカスをあてて、人間の消費行動を考察している内容です。
まえがきにある、
「数十万年から数百年という太鼓の昔に遡って、私たちの祖先がしたことや学んだこと、環境の変化に脳の仕組みが適応してきた歴史を知れば、現代の不可思議な消費行動が明らかになります。モノを売る売り手がどう対処すべきかの解決方法も見えてきます」
これが本書の紹介として最適な箇所かと思います。
先行研究や実験結果を元に内容が展開されていますが、いずれもとても読みやすい文章に咀嚼してくれています。
以下は個人的な備忘録的メモ。
◆最初に生まれた感情は「恐れ」」、「恐れ」の変化形が「不安」。それと同時に生まれた感情は「怒り」。
「恐れ・不安」を打破するために「怒り」の感情がある。なるほど、すぐに怒りを表に出す人は本能的に「恐れ・不安」を打ち消していると思えば許容できます。
◆「妬みは民主主義を実現させるための推進力であり、(妬みそれ自体は余り良い感情ではないが)、より公正な社会システムを達成するためには我慢しなくてはならない感情なのだ」(英国の哲学者バートランド・ラッセル)
◆行動経済学では、損失と利得が同額でも、人間は損失を利得よりも大きく感じる。だから人間は損失を回避しようとする。これを損失回避性という。
◆「うつ」は遠い人間の祖先にもあったかもしれないらしい。「うつ」は生存確率を高める仕組みであったと主張する学者がいるらしい。
自分ではコントロールできない悪条件に置かれた動物は、エネルギーの節約を図るために、うつ病によく似た状態になる。
◆消費者の買い控えを打破するには、購買を正当化しやすい仕組みを作る。
◆人間の意思決定に大きな影響力のある大脳辺縁系は、未来に関心が持てないようにプログラムされている。
◆長寿ブランドであるためには、まず第一に、長く市場に生存する必要がある。
と、備忘録はこれくらいにしまして、簡単に感想を。
本書を読み、人間の本能として、現在の日本の状態において消費が拡大することはありえないってことがよく解りました。
不安を感じる状況では人間は本能として守りに入るってことです。
先行き不透明な日本であります。確かに、いろいろ先を考えると明るい兆しも見えず不安を感じます。
景気が良くなれば、いろいろ問題が解決することもありますが、メディアが不安を煽り続ける以上、消費者はお金を使うことを控え続けるということで、景気はよくならないってことですよね。
もっと、気楽に楽観的な雰囲気を作っていければ景気は上向く可能性は大きいと思われます。
価値観を大きく転換して、先行き不安&低成長の中で価値を見いだせる状態を作っていかないと。
もう一度、高度経済成長を期待しても無理なわけです。
陽ではなく陰の価値観。
金閣寺ではなく銀閣寺みたいな価値観です。
経済政策も重要ですが、メディアが足並み揃えて、不安を煽るような姿勢を変えて、日本の可能性や強さを知らしめるような内容や、楽観的になれるような前向きで明るい内容を沢山流してもらえれば、景気も上向くのではと思うのですがどうでしょうか。
と、メディアに期待しても仕方ないのですかね。
総うつ状態で先行きが見えない日本においてどうしたら明るい兆しが見いだせるかは結局、各企業が考えていくしかないですね。
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