何やら自民党さんが教員の政治的中立性の実態調査という名目の密告サイトをリリースしたらしく一部で盛り上がっているようです。

自民党「政治的中立を逸脱した教員を教えて」 ネット上で批判相次ぐ「密告を呼びかけるのか」
http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/09/ldp-education-investigation_n_10902078.html 

私立大学の教員に政治的中立性が求められるのか定かではありませんが、個人的な価値観として政治信条や思想を他者に押し付けることそのものが嫌いなので、そのようなことはしません。講義中に政治関連での好き嫌いは時折口を滑らしてはいますが...(笑)

ただ、学生たちに対し思うのは、
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「政治のことはよく解らないから、投票しない」という人間にはなって欲しくないな、ということ。なので、今週の講義冒頭の雑談で、「選挙に行こう!」ではなく「選挙に行け!」という話を学生たちに伝えました。
 
とは言え、自身の未熟な見識でどのようなアドバイスをしてよいか煮詰めることが出来ず、今回は最も共感を覚え納得できた、ライフネット生命の出口会長のアドバイスを参考にしつつ、自分なりに学生に選挙に行くことを促してみました。
 
「誰も政治を教えてくれなかった」人たちへ(出口治明)|ポリタス 参院選・都知事選 2016――何のために投票するのか
http://politas.jp/features/10/article/494

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こんな感じです。そして、これだけじゃアレなので、自身の考えも伝えました。

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現在の日本は様々な問題に直面しています。いずれの問題も一筋縄では解決しない難しい問題ばかりです。選挙に立候補している人たちは何かしらの問題に対し信念を持って立候補している「はず」です。立候補者は各問題に対してある程度の考えは持っているとは思いますが、それら全ての考えを選挙期間中に伝えきることは現実的に不可能ということで、争点を絞り一点突破で当選しようとしているのが現在の選挙です。

立候補者個人のみならず、政党も同じくですね。争点を絞り分かりやすくした方が支持を得やすいからです。これは裏を返すと選挙権を持つ国民が、複雑な方程式を提示されても考えきれないということなのでしょうね...。

全ての問題に対して、自分なりの考えを持ち、選挙に望むことは大変なことです。自分自身も、それぞれに対しある程度の考えは持っていますが、信念を持てるほどでも無いことも多々あります。それが若い人になれば、そりゃ「政治はよく分からん」という思考停止にもなりますよね。

なので、今は自分自身の関心事にのみでよいので、立候補者や政党が言っていることに賛成か反対かくらいの考えを持とう!と伝えました。(感覚的な判断で良いと思います)

関心を持ち、判断をし、投票する。すると、その分野についての政治に関心が持てるようになる。結果、その分野についてもっと関心を持つようになる。

1回の投票が次につながってくると考えています。ゆえに、選挙権の放棄はダメだと思うのです。

そして、こんな絵も見せました。

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1つの絵であっても、若い女性に見えたり老女に見えたり、1つの写真であっても、正面を向いているように見えたり、横を向いているように見えたりするのですよね。

人により見え方が違って良いと思うのです。ただ、違う見え方もするということを認め、その見え方で一度は冷静に見ることが大切ではないかと考えます。

そうした視点があれば、候補者や政党によって、同じ問題に対して違う政策を訴えることにも冷静に対処できるのではないかと。

徐々に政治信条や価値観が固まってくるまでは、両方の考え方を冷静に聞いてみて、どちらが自身の価値観に近いかで判断したら良いと思うのです。

何の絵かわからないものに対し、一度説明をうけると、そう見えてくるという話と、メディアの鵜呑みは危険だよというアドバイスをはさみ、最後はこんなスライドで締めてみました。

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個人的には既にある程度価値観が作られているので、「あの政党の言っていることは間違っている」的な思考を持ってしまうのですが、それを学生に立場的に言ってしまうのはNGだと思うのですよね。先生という立場から物を言うと一定数の学生は盲目的に信じてしまうリスクがありますし、それは、自身が思う「自分で考え、行動する人になって欲しい!」という願いに反する結果になりますので。

なので、「正しい候補者、正しい政党に投票しなければならない」という考えは捨てて欲しいなと。そもそも、正しい答えなんてのは誰も持ち合わせていないのです。正しいと信じる答えを訴え、最後は選挙で国民が選挙で判断を示す。それが民主主義だと思う次第です。

と、前おきが長くなりましたが、

要は、

「学生のみんな、今日(7月10日)は参議院選挙の投票日だよ!選挙行け!」


ということであります。

久しぶりに長々とブログ書きました。

日本の未来を考えよう
出口治明
クロスメディア・パブリッシング(インプレス)
2015-08-25






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