研究ノート(大学教員の徒然)

なかたにじゅんいちの個人ブログです。

タグ:ブランド

80年代にアメリカで生まれ、90年代に日本でもブームになった某アパレルブランド。

その後、撤退(?)して国内で見ることも無くなっていました。そのブランドが数年前に本国直轄で日本再参入していました。 

そんな、某ブランドのカバンを買ったのです。高級ブランドのような価格ではありませんが、決して安い値段ではありませんでした。

そのカバンの持ち手を過度の力をかけてしまい壊わしてしまったのですね。商品の不良ではなく、完全にこちらの落ち度。

修理に出そうと購入した店舗に電話をしてみて、がっかりしました。

電話のやり取りはこんな感じ。

「そちらで購入したカバンを壊してしまい、修理に出したいのですが」

「修理は店舗で受け付けていません」

と、あっさり言われました。引き下がらず続けました。

「店舗ではなく、会社としてどうなんですか?修理受付窓口とか無いのですか?」

「無いです」

「え!?じゃぁ、修理して使い続けたい人はどうしているの?」

「修理してくれるカバン屋などを探してそちらに出していただくくらいでしょうか...」

ここまでで、そのブランドに対してガッカリしたのはもちろんですが、経営側はブランド作っていく気が無いんだなぁと感じた次第です。

使い捨ての価格なら、そこまで思わないところですが、うかがい知るに、ハイブランドにしていこうという雰囲気を出しているブランドなのですよね。

どれだけおしゃれな商品を取り揃え、店舗を綺麗に作り、ブランド広告を展開したところで、既存顧客を大切にしないところに、ブランドなど確立するわけは無いです。再参入していますが、数年内に再撤退でしょうね。

と、愚痴ばかりでもアレなので、少しだけ「製品」についての考え方について。

「製品」には3つのレベルがあると、コトラー先生らは言っております。その3つのレベルとは以下の画像の通りです。(コトラー、アームストロング、恩蔵のマーケティング原理 P.171より)

product1

1つめの階層は「中核となる顧客価値」です。顧客ニーズと言い換えても良いですね。製品とはそれを満たしていることであり、提供側は「顧客に提供している価値は何か?」を突き詰め考え、定義しておくことが大切です。

2つめの階層が「実態製品」。一般的に製品(商品)というと、この目に見える形あるものを指しますよね。

「商品価値を高める」となると、とかく実態製品の改善ばかりに注力してしまいがちですが、製品には3つ目の階層があり、そこの改善も大切なのです。「拡張製品」と言われる階層で、製品サポートや保証、アフターサービスなど、一般的に「サービス」と言われる形ないものになります。

この3つ目の階層までを含め「製品」と捉えることが大切ですよ!ということですね。

product2

今回の某ブランドは、アフターサービス、製品サポートに対して全く経営資源を割り振っていない状況ということですね。いくら実態製品が悪くなくても、拡張製品がサッパリであれば、トータルとしての製品に対する価値は高まりませんよ、ということ。

「モノ」で差別化が難しくなっているなか、「サービス」が「差別化」ポイントとなるにも関わらず、です。残念な限りです。

貴重な経験をしました。もう某ブランドの製品は買うことは無いでしょう。壊れたカバンは、かばん修理を請け負ってくれるカバン屋さんに出すことにします。




 

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本日もはじまりました。師匠による「マーケティング1」
本日のお題は「ブランド」です。

「ブランド」は極めて奥深いです。

以下、いくつかメモ。

◆ブランドの重要性を考える実話。

2人の美人女性について、100人の男性に「どちらが美人か?」と質問したところ、回答は50:50と拮抗した。

次は、2人の女性に名前をつけた。1人目は「ジェニファー」、もう1人は「ガートルード」。

改めて別の100人に、「どちらが美人か?」と質問したところ、ジェニファーの方が美人との回答が8割となった。
※ガートルードという名前は、アメリカにおいては「古風な名前」に位置づけられているらしい。


「優れたブランドは、平均以上の収益を“継続的に”確保するための唯一の手段である」 by フィリップ・コトラー


◆ブランド・エクイティ論

ブランドエクイティ(BE)とは何か?
ブランドは企業経営における5つ目の資産である。
(人、物、金、情報、ブランド)

BEの4要素=認知、知覚品質、ブランドロイヤリティ、連想)
→ 特に重要なのが連想。
→ 連想が強くて、好ましくて、ユニークであればあるほど好ましい。

ブランドは資産であるので売買が可能。
EX) デルモンテの極東の権利は、キッコーマンが保有している。

◆ブランド・マネジメント
<ブランド戦略の基本>
・ブランド強化
・ブランド変更
・ブランド・リポジショニング
・ブランド開発

ブランド強化においては、 
・ 丁度可知差異(Just Notice Defference)
→ 言われてみれば分かる程度の違い。
・ 使用量UP
→ 消費シーンを増やす。使い方を変えさせる。
・ 頻度UP
→ 鮮度効果、テコ入れ効果
→ 欧米では鮮度効果はほとんど目的とされない。
国土の広さやメディアの違い。
日本では、比較的頻繁にブランド変更が行われる。

◆ブランドの役割
・ アイデンティファイアー
・ ドライバー
・ エンドーサー
・ シルバーフリット 

◆ブランドの階層性
・ 企業ブランド
・ ファミリーブランド
・ 個別ブランド
・ グレード(モディファイアー)
→ 製品・市場の同質性、異質性にあわせて選択する。 


他にも、ブランド拡張の話など諸々あったのですが、
なんか、今日は疲れ気味(月曜日なのに・・・)なので、こんなところ。

そうそう、質疑応答の際には、色々な質問がでていました。
本日の講義はブランドに関する全体像を理解するための構成でしたので、各論深堀するには、もっと時間を要しますよね。

その中で、

「ブランドの影響を全く受けない財はあるか?」という質問が出ていました。

これは難しい・・・。

多分無い。全てにブランドは存在しますね。


春期後半開講のブランド論はやっぱりもう一度聴かなければ。

先日、師匠が監訳されている ↓ 買おうかな。でも8,000円・・・

戦略的ブランド・マネジメント 第3版戦略的ブランド・マネジメント 第3版
著者:ケビン・レーン・ケラー
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実家で食事をしていた際に、ふとしたきっかけから父が、

「昔、コピーを取ることを『ゼロックスしておいて』と言ったのだよ」

という話をしたのです。

それに呼応して、母は、昔、台所洗剤のことは全て「ママレモン」って呼んでいたという話をするのです。

現在大学生の妹には、全く理解できなかったようですが、団塊世代の人たちにとって「ゼロックスする」や「ママレモン」はとても理解出来る話であり、「ゼロックスする」はもしかすると、いまだ現役用語かもしれません。

そんな話をきっかけに、ひとしきり代名詞となった製品・サービス名探しで盛り上がったわけですが、考えてみると結構な数がありました。

商品名が一般名詞化している(していた)もので思いついたモノは以下の通り。

ゼロックス(複写機:富士ゼロックス)
ウォークマン(ポータブル音楽プレーヤー:ソニー)
サランラップ(食品ラップ:旭化成)
ママレモン(台所用洗剤:ライオン)
バファリン(解熱鎮痛薬:ライオン)
ポラロイド(インスタントカメラ:ポラロイド)
プリクラ(写真シール機:アトラス)
写メール(カメラ付き携帯電話/写真メール送付:J-フォン)
ファミコン(家庭内ゲーム機:任天堂)
シーチキン(ツナ缶:はごろも)
宅急便(家庭宅配便:ヤマト運輸)
味の素(うま味調味料:味の素)
バンドエイド(絆創膏:ジョンソン&ジョンソン)
セロテープ(セロハンテープ:ニチバン)
ポストイット(付箋:スリーエム)
シャチハタ(スタンプ型印鑑:シャチハタ)
ホッチキス(ステープラ:イトーキ)※
サインペン(フェルトペン:ぺんてる)
ウォシュレット(温水洗浄便座:TOTO)
アロンアルファ(瞬間接着剤:東亞合成)
セメダイン(接着剤:セメダイン)
カブ(バイク:ホンダ)
バスクリン(入浴剤:ツムラ(現:バスクリン)) 

 
※ホッチキスは現在文房具においては商標は消滅しているそうです。 

思いついただけでも、結構な数がありますね。

今ではもう代名詞として成立していないモノもありますが、多くは製品名、商標とは知らず、いまだ一般名詞と思って使っているモノもばかりですね。

いずれも、新しいカテゴリーを創造し、そのカテゴリーで圧倒的なシェアを確保し、ロングセラー商品となっているモノばかりですね。

市場が成長し後発商品が参入しても、市場における圧倒的なブランド認知により、一般名詞化したという事になります。

そして経済成長期の製品ばかり。モノが溢れかえってしまった現在においては、一般名詞化するような、強い商品を出すのは難しそうです。

ゆえにブランドマネジメントという分野が注目されていると言うことなのでしょうね。

ブランド戦略の講義内容を復習しないと・・・。

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