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日常系アニメの歴史は、あずまんが大王から始まった、らしい。

ということで、現在放映中アニメで忙しく、過去作品にさっぱり手をつけられていなかったのですが、コツコツ見続け、ようやく「あずまんが大王」を観終えたの記念して、「日常系」なるアニメについて徒然書いておこうかと。
 
まずは、アニメを観ない方向けに「日常系」についての概要から。

wiki先生では、日常系を「空気系」として、
空気系(くうきけい)とは、主にゼロ年代以降の日本のオタク系コンテンツにおいてみられる、美少女キャラクターのたわいもない会話や日常生活を延々と描くことを主眼とした作品群。
wiki先生では「空気系」としていますが、「空気系=日常系」なので、本エントリーでは「日常系」で統一します。そして、その日常系作品の傾向は下記の3点としています。
1) 物語性の排除
2) 萌え系の美少女に絞ったキャラクター配置
3) 虚構への現実の混入 
1)の物語性の排除という点(アニメに大きな目的が特に無く日々の生活をアニメにしている)では、ちびまる子ちゃん、サザエさんは日常系とも言えなくありませんが、2)が決定的な違いでしょうね。3)については近年のビジネスの側面で現実を入れることによる経済効果を期待して多用されていますが、日常系の原点と言われている「あずまんが大王」では3)の要素はあまり見られません。

ということで、基礎的な日常系の構成要素を考えてみると、

1) 物語要素無し(都度完結、どこから観ても楽しめる
2) 萌え系美少女キャラクター(萌えおよび美少女の定義についてはあえて触れません。)
3) 主要キャラクターは3〜5人(男子キャラ排除)
4) 舞台は学校(ほぼ高校)
5) 非現実的設定排除。

「日常系」が「あずまんが大王」を源流とするなら、上記1)〜4)が基本構成要素ではないかと。5)については定義が難しいところ。源流となる、あずまんが大王では、ちよちゃんという元小学生が飛び級で高校生になっているので、非現実的といえば非現実的。その後の日常系は差別化を図るために別要素追加がなされながら発展してきているということですね。

日常系が常に一定の支持を集めるのは、「安心感」があるからではないかと思うのです。サザエさん、ちびまる子ちゃん、クレヨンしんちゃんにも共通するのですが、ストーリー性皆無で、基本の登場人物も固定、構成がほぼ同一。パターン化されることにより、変化は少ないところですが、それが安心感につながるのです。

野球に例えるならば、常に6回までは2〜3失点で抑えてくれる先発ピッチャーという感じ。完封は期待できないけど、大炎上するリスクも無いということで、監督としても安心して使えるし、観る側も、安心して見ていられます。

人間は、根源的には「安定」を求めるように出来ているのでしょう。

しかしながら、パターン化は、マンネリにつながるリスクがあります。他の作品と同じパターンでは商業的に見込みが立ちません。それゆえ「日常系アニメ」は変化要素を少しづつ加え発展し続けているのですね。(マーケティング的には、カテゴリ拡張ですね)

ということで、まだまだ未視聴作品も多くありますが、これまで観た「日常」一覧に基本要素以外別に注目してコメントを残しておきます。

あずまんが大王(1) [DVD]あずまんが大王
学術の世界でもカテゴリーを築いた論文は時代を経てもまったく色褪せないのですが、アニメの世界でも全く同じですね。「日常系」を語るならば観ておく必要ありです。近年の日常系の源流たる証左、10年以上前の作品ながら、古さを全く感じません。名作は色褪せません。





けいおん! 1 (初回限定生産) [Blu-ray]けいおん! 
社会現象にもなったヒット作品ですね。
「部活」という設定が差別化ポイントですね。あと、wiki先生にある「虚構への現実の混入」を大成功させた作品としても注目されます。作品中に、実際の買える商品が散りばめられ、それを買い求める人が大量発生しましたよね。




らき☆すた 2 限定版 [DVD]らき☆すた
一部の人にしか解らないネタを大量に取り込む手法はコレが際立っているかな。あと、聖地巡礼が世の中的に注目されたという点で新しさありですね。「虚構への現実の混入」という視点で、けいおん!が「商品」ならば、らき☆すたは「場所」で成功といえると思います。いつか鷲宮神社には行ってみたいかな。




キルミーベイベー (1) 【Blu-ray】キルミーベイベー
これの作品としての評価はかなり分かれるみたいで。掛け合い漫才日常アニメです。ナンセンスなボケと、シュールなツッコミはお笑いとして学ぶべき要素多し。主要キャラ3人(+没キャラ1名)以外、他のキャラを徹底的に登場させない手法が新しさかな。





日常 Blu-ray BOX コンプリート版日常
ストレートなタイトル。登場キャラを増やしていることと、SF要素が入れ込んだことが新しさではないかと。日常としながら、不条理非日常を扱っている点が差別化ポイントかな。民放で放送されたのち、NHKで話数再編され放送されたという点にも注目したいですね。





みなみけ ただいま 1 [Blu-ray]みなみけ
3姉妹を中心に、それぞれの小中高校での内容を横展開のみならず、3姉妹を触媒に縦につなげる展開が秀逸。男子キャラも散りばめ、恋愛要素も少し入れることで話の広がりを持たせていることが特徴です。実質4期続いていることが、その成果ですね。




ひだまりスケッチ×365 Blu-ray Disc Boxひだまりスケッチ×365 Blu-ray Disc Box [Blu-ray]
基本構成要素の「萌えキャラ」を際立たせ成功させている作品ですね。これも、4期まで続いています。






WORKING´!! 1【完全生産限定版】 [Blu-ray]WORKING´!!
主役を男子にして、バイト先(ファミレス)を舞台に日常系にまとめあげています。日常アニメの定義を広げた点で評価されるべき作品かと。

ゆゆ式 1 (初回限定版) [Blu-ray]ゆゆ式
2013春アニメで放映された本作品、日常系の基本構成を忠実に守った王道系日常系でした。差別化のために要素が追加された日常系が増え続けている中、王道で勝負がかけられるということは凄いことだと思うのです。

まだまだ観ておくべき日常系はあるのですが、現状はこんなところ。

日常系は、ボケーッと 観て楽しむアニメです。内容云々を言い出すのは無意味なのです。サザエさんが面白い面白くないを議論するのが無意味なのと同じです。放送されているから観る。使い回しのネタ、お決まりのオチであっても良いのです。日常系とはそう楽しむのがお作法なのです。