研究ノート(大学教員の徒然)

なかたにじゅんいちの個人ブログです。

タグ:早稲田

5月19日のリーダーシップ論(大隈塾)のゲスト講師は
株式会社経営共創基盤 代表取締役CEO 冨山和彦氏 でした。

産業再生機構のCOOだった方として有名な方です。


企業再生のリアルな現場経験を通じたリーダーシップのあり方、経営者のあるべき姿、持つべき覚悟などお話いただきました。


以下、心に残ったメモ:
コンテクスト省略なので字面だけでは真意は伝えにくいですが・・・

-----------------------------------------

まともな会社/優秀な人が多い会社ほど大きな意思決定はできない。


「老い」
自覚しているうちは「老いていない」
自覚できなくなるときが「本当の老い」 


改革は「理不尽」が伴なう。
合理的な計画や美しいビジョンなんて誰でも書ける、言える
理不尽さが伴なう判断をする力を持てるか否かが重要。


改革は「何かの聖域に踏み込む」こと。
それを実施した場合、まともな死に方ができないと思えるくらい。
(大きな恨みつらみを買う可能性があるということ)


腹を据える(死んでも構わない)と思うと、大抵勝てる。


危機的状況であるとき改革は容易、特に日本では。


迷ったら、それを選んだ理由が短くなる方を選ぶ。 


「後世への最大遺物は、勇ましい高尚なる生涯であると思います。」
内村鑑三 

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今回の講義は、経営者に求められるリーダーシップ、覚悟といった主旨であったわけで、それはそれで大変良かったのですが、

自分は、自身のライフワークである中小企業経営に想いを馳せながら聞いていました。

日本には、
環境の変化に全くついていけず、現状極めて苦しい状況に追い込まれている、もしくは今は良いが3年先、5年先が全く描けない中小零細企業が山ほど存在しているのです。

そうした企業を如何にすべきか?って事を考えていました。

再生できるか?再生させるべきか?

産業再生機構が支援した企業は、再生の余地がある企業を厳選し、いわゆる外科手術を施し再生させたわけですが、

大多数の中小零細企業は再生させるにも再生させる余地がない、死亡診断書を書かざるを得ないような先が多いのです。

そうした1社が潰れても、日本経済へのインパクトはさほど大きくありません。微々たるものかもしれませんが、それがまとまった者数、10万社単位で潰れるようなことになったら、これは一大事です。

これは、もう再生機構とかいっている場合じゃなくて、政策でなんとか擦る必要があり、政治の世界です。

そんなことを考えていたので、冨山さんだったらどうするか?どうすべきと考えるか?という質問をしたんです。

頂いた答えはここには書きませんが、自分が考えている方向性とほぼ同一でした。

自分は、それを政治・政策主導ではなく、ビジネス、民間企業主導で実現できないかと考えているのです。

そんなビジネスを展開したいと企んでいます。


下記は冨山さんの話の中で「名著」と推薦があった本です。

「空気」の研究 (山本七平ライブラリー)「空気」の研究 (山本七平ライブラリー)
著者:山本 七平
販売元:文藝春秋
発売日:1997-04
おすすめ度:5.0
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5月24日のITマーケティングのゲスト講師は武富正人氏。
昨年に続き2回目。

[05/21]ITマーケティング〜早稲田MBAの授業(仮称)

昨年はオリコムの武富さんだったのですが、
今年は、DMGワールドメディア社日本法人代表取締役の武富さん。

DMGワールドメディアは英国のフジサンケイグループみたいなとこらしい。
ad:techのイベント主催会社であり、武富さんはad:tech Tokyoの事務局責任者とのこと。

ad:techについての説明は割愛
HP http://www.ad-tech.com/tokyo/japanese/adtech_tokyo.aspx
official BLOG http://ameblo.jp/adtechtokyo/

武富さんの講義は昨年度のMyBest講義の1つでした。
今年もかなり楽しみにしていたわです。

で、今年はどんな内容だったかというと、
クラスでグループワークを通じた「エレベーターミーティング」のスキル習得。

使用したフレームワークは極めて基本的なモノ。

Planは「6W2H」

When
Where
What
Who
Whom
Why
How
Howmuch

ですね。
(個人的にはWHOMがややこしいので5W2Hで良い気もします)

Managementは、以下4要素。

Schedule
Quality
Budget
Safety → 特に重要。

計画というのは上記を抑えることであり、SWOT、5FSのフレームワークに照らしあわせ、企画の競争力を吟味する。

これを短時間でということです。

3チームにわかれ、ざっくりした要件を提示されて、数分でチームでまとめ、いきなりプレゼンという講義。

今回重要視されたことは「短時間で考えまとめること」短時間であっても要素を抑える訓練でした。


本講義について、客観的にあえて言えば、完成度はあまり高くありませんでした。

準備次第でもっとハイレベルな講義になったようにも思います。


自分自身は、昨年の講義以降、武富さんを知っていて、ad:techも知っていて、ブログも読んでいたこともあり、すんなりグループワークに入れましたが、

武富さんの背景理解が追いつかないままに始まった感があり、いきなりだった人は、ちょっと厳しかったかもしれない。


でも、それも武富さんが意図的に行った可能性がありますけどね。


武富さんのメッセージは明快で、

「日本人のビジネスパーソンよ、真のグローバル人材たれ!」
(自分ですらグローバルで仕事が出来ているんだから、みんなできる!)

です。(自分の中の解釈ですけれど)

その一要素として、今回は

短時間でプランをまとめ、プレゼンをする

というスキルの重要だ!ということで、今回の講義があったと理解しています。

その題材として、ad:techを日本に誘致した実体験をモデルケースにしたわけですよね。

実務で使えるトレーニングメニューとしてはかなり良かったと思います。

ということで、

他の参加者の感想はわかりませんが、武富さんへのリスペクト割増を差し引いても、自分は非常に有意義な時間でした。


と、以上、完全に感想文ですね・・・


ちなみに、今回の内容は、企業向けの研修に応用できるなぁと思ったりしてます。
自分もできるようになろう。

1分間説得術1分間説得術
著者:梶原 しげる
販売元:PHP研究所
発売日:2010-03-13
おすすめ度:4.0
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本日は藤田先生のITマーケティングに参加させてもらいました。

テーマは「ニューロマーケティング」
前半は博報堂研究開発局の手塚豊氏による講話。
  
博報堂内にある認知科学マーケティングの専門チーム、
Hakuhodo B.B.Buyology(博報堂ブレイン・ブリッジ・バイオロジー)
の方です。


以下、適当にメモ。

◆マーケティング = 発見+創造

発見とは、「欲望の発見」(欲望の創造ではない)
創造とは、「社会的合意の創造」

マーケティング → 生活者がまだ自覚していない欲望を、本人より先に「発見」し、その新しい欲望に社会的合意を形成することで、新しい市場を「創造」すること。
 
高度消費社会 = 必要だから購入するするのではなく、購入すること自体が目的化している社会。


◆「進歩史観的市場観」の終焉

「右肩上がり」信仰の終焉 → 「定常化した時代」へ
「新しいものがより優れている」とは限らない時代

近代合理主義の終焉
→ 「合理的選択」から「情緒的選択」へ
→ 「客観の重視」から「主義の重視」へ 


「不連続な市場の未来」、「改善」から「価値の読み替え」 


◆人間は「言語」の影響を強く受ける。 

意識出来ている領域は、言語化される領域とほぼ同義。

今日的なマーケティングにおいては

無意識領域≒非言語領域 &生理的領域

が重要な要素となる。 

◆商品・サービスの「機能」のみに注視しすぎてはいけない。

生活者の前後の行動にも注視する必要がある。 
「建前」や「正しい・正しくないという2元論」に振り回されないこと。

◆調査・分析手法

・ZMET
Zaltman Metaphor Elicitation Technique - Wikipedia 

  生活者の深層心理を調査するプログラム
 「ZMET調査」を博報堂が日本で独占的に提供
  http://www.hakuhodo.co.jp/pdf/2005/20050725.pdf

・EEG(脳波) 脳波 - Wikipedia
・fMRI  fMRI - Wikipedia

ニューロマーケティングの為の手法が大切なのではなく、そうした事が求められる背景が重要。


◆「問い」が間違っていたら、永久に生活は出ない。

女性の社会進出はなぜ進んでいるのか? 
→ 女性は昔から社会に存在している。
→ 「社会進出」ではなく「企業社会進出」ならまだOK 
→ 日本において専業主婦率が50%を超えたことは無い。
 
常識を疑う力、ものごとのありのままを見る力が大切。

ということで、ニューロマーケティングについて学んだわけですが、
まだまだ発展途上の理論・手法でもあり、現在進行形で今後、注目していきたいと思います。


入門書としてはコレがオススメ。
買い物する脳―驚くべきニューロマーケティングの世界買い物する脳―驚くべきニューロマーケティングの世界
著者:マーティン・リンストローム
販売元:早川書房
発売日:2008-11-21
おすすめ度:3.0
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これは名著。
心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす Harvard Business School Press心脳マーケティング 顧客の無意識を解き明かす Harvard Business School Press
著者:ジェラルド・ザルトマン
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2005-02-10
おすすめ度:4.0
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先日のリーダーシップ論にて面白いショートケースがあった。

「あるコンビニエンスストアの現金違算」

というタイトルのKBSケース。 

ケース自体は非常に短いモノで、概要は以下の通り。

----------------------------------
・「ニコニコマート」港通り店(もちろん実在しない架空のコンビニ)での話。
・店は売上も順調に推移。比較的業績好調
・本部SVの指摘で、この3ヶ月、現金過不足が非常に多い事が発覚。
・単純なミスとは考えにくい金額。
・アルバイトがレジのお金に手をつけている可能性あり。
・詳細調査してみると、アルバイトの佐藤さん(女性)が疑わしい事がわかる。
・佐藤さんは高校生で、夕方の主力アルバイトで店長も信頼を寄せている。
・防犯カメラを調べたところ、佐藤さんが1万円をポケットに入れる決定的瞬間を確認。
・ただ、防犯カメラの運用が雑で映像で残っていたのはその1回のみ。
・自宅は店の目の前にあり、母親も店を頻繁に利用している。
・店のアルバイトは佐藤さんの不正に気づきはじめている様子。
----------------------------------

 さぁ、貴方が店長だったら、この後、どうするか?

というケース。

「どうするか?」「どのようにするか?」を議論したわけです。

1万円は証拠があるが、過去3ヶ月の現金違算が全て佐藤さんであるという証拠は無い状況。(限りなくクロではあるが)

1万円とはいえ、レジのお金を着服しているわけで、立派な犯罪行為。
警察につきつけクビにするもひとつ。

警察沙汰にはせず、自白させて、辞めてもらうというのもひとつ。

主力アルバイトでゅ高校生であることを鑑み、反省・改心させて残ってもらうというのもひとつ。

シンプルながら、他のアルバイトへの影響などを考えだすと結構難しい問題。

「正しい答え」というのものは無い問題なのですが、

ポイントは

「最も大切にしなければならない事」を基準に判断すること。

とのことです。 

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水曜日はリーダーシップ論(大隈塾)と実践全社戦略の隔週履修です。
本日(5月12日)、おもいっきり実践全社戦略だと思って学校に来てみたら、リーダーシップ論でした・・・

本日のゲストは西武ホールディングス社長で西武ライオンズのオーナーでもある後藤高志氏。

2005年に西武再建の為にみずほコーポレート銀行から異動してきた方です。

西武事件も大昔のような気がしますが、まだ5年前の事なんですね。

参考)西武帝国の興亡〜会社は株主のものか(日経BP)

講義のテーマは「危機におけるリーダーシップとマネージメント」

再建を引き受け派遣されることになった当時から現在までのお話を伺ったわけです。

今日一番、印象に残ったのは、

「侠気」(おとこぎ)

というお話。

ちなみに「おとこぎ」を「男気」と書くのは間違っていて正確には「侠気」らしいです。

当時、後藤氏はみずほコーポレート銀行の副頭取、不祥事で信用不安が広がっていた堤王国の再建という難題を最終的に引き受けることになったわけですが、

何故、後藤氏は、副頭取という立場を捨て、火中の栗を拾うような選択をしたのか?

それは「侠気」だったらしいのです。

後藤氏によるところの「侠気」の定義は、

「頼まれたら、最後は四の五の言わずに引き受ける」

とのことです。

そのまま、みずほコーポレートの副頭取、もしかしたら頭取になる可能性もあったはずなのに・・・


引き受けた時は、本当に何の勝算も無かったようです。
ただ、内部の人間で西武再建は無理だろうということは思っていたとのこと。

メインバンクの担当役員が最後は「侠気」だけで再建に行く・・・

カッコ良すぎますね。


ちなみに、後藤氏は、金融腐蝕列島のモデルとなった第一勧業銀行当時の「改革四人組」の一人なんですね。
(直接ご本人が話された訳ではありません、念のため)


こりゃ、西武再建も、いつか高杉良氏によって小説化されてNHKあたりがドラマ化ですな。

西武事件 「堤家」支配と日本社会西武事件 「堤家」支配と日本社会
著者:吉野 源太郎
販売元:日本経済新聞社
発売日:2005-05-22
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金融腐蝕列島 (上) (角川文庫)金融腐蝕列島 (上) (角川文庫)
著者:高杉 良
販売元:角川書店
発売日:1997-12
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金融腐蝕列島 (下) (角川文庫)金融腐蝕列島 (下) (角川文庫)
著者:高杉 良
販売元:角川書店
発売日:1997-12
おすすめ度:5.0
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土曜日の4限、5限は「企業間関係マネジメント」を履修しています。

人気教授の一人(多分)である、井上達彦先生。

早稲田大学商学部 井上達彦ゼミナール 
ウェブサイトもすごいしっかりしてますねぇ・・・

専門はビジネスシステムだと思います。多分。

評価は厳しめとの噂ですが、学生の間での評判はすこぶる良いです。

んで、2回目の授業が終わったところですが、評判通り、授業は極めて良いです。

ちなみに、私は授業は、

0) 各回の講義目的が明確
1) 講義にアカデミックのベースがしっかりある。 
2) でありながら、非常に明快でわかりやすい解説 
3) 身近な事例を元に解説あり。
4) インタラクティブ性・受講者とのコミュニケーション力
5) 講義タイムマネジメント、テンポ

といったポイントで見ています。

例えば、5月8日回は、

イノベーションのジレンマについての復習があり、ゲーム業界における実証調査を元に、競争/破壊/共生パラダイムについて学んだり、顧客コミュニティについて、Jリーグ浦和レッズのオフィシャル・サポーターズ・クラブの事例を通じて学んだのですが、

身近な事例を通じて考えたあとに、理論的な背景を説明という流れが出来ていて、スッキリします。

でも、ちょっとボリューム多すぎだったかも。
多分M2は大丈夫かもしれないけど、バックグランドがまだ整っていないM1も講義を受けているので、もう少し1つずつを深堀しても良い感じはしましたけどね。

事前課題で読んだビジネス生態系の論文も面白かったし、浦和レッズのOSC制度は面白かったのですが、講義の詳しい内容は今回は割愛。
いつか書きます。

教科書はこれだったかな。
加護野先生との共著ですね。

事業システム戦略―事業の仕組みと競争優位 (有斐閣アルマ)事業システム戦略―事業の仕組みと競争優位 (有斐閣アルマ)
著者:加護野 忠男
販売元:有斐閣
発売日:2004-03
おすすめ度:4.5
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西山先生のファイナンス1が無事(?)終わり、
後半戦「ファイナンス2」が始まりました。

後半の先生は 早稲田大学の晝間文彦教授。
バリバリの学術肌の先生で、阿部先生に授業の雰囲気は似てますね。

WEBでお名前にて検索してみましたが、オフィシャルHPはない様子。
もっとも、わかりやすいプロフィールはなぜか阪大のページでした。

晝間 文彦 - 大阪大学 社会経済研究所

後半は、資本市場(株式・債券の価格)、デリバティブ、ブラック=ショールズ・モデルについて学びます。

講義教室がなぜかコンピューター室なんですよ。
ということは、必然的に演習的な課題が出るということですね・・・
がんばりますか。

初回は、まぁイントロ的な内容なわけです。

金融とは、何ぞや?ということを解説いただきましたが、初めての言葉で興味を持ったのが、

「アロウ・デブリュー証券」

究極の証券らしいですが、解説を聞いていたのですが、アロウさんとデブリューさんというノーベル賞経済学者二名の名前に由来しているということはわかりましたが、その中身について、いまいち理解仕切れませんでした・・・
 
ネット(日本語)で検索してもあまり情報もなく、英語で探してみたら、一応、英語であればwikiのページがありました。

http://en.wikipedia.org/wiki/Arrow-Debreu_model

今後の授業で、内容を深く講義していただけるとのことですが、理論経済学ですな・・・ 実務とは離れたともすれば机上の空論ともいえなくないような。でも、そうした理論が実経済の基礎を作っていることも事実だし。

大学学部時代のミクロ経済の講義を思い出しちゃいましたよ。学部は、とりあえず単位をとればよかったので、ほとんど勉強しませんでしたが、今はそうも言ってられませんので、がんばることにします。

なお、この、早稲田大学MBAにおける「ファイナンス1・2」の教科書は、これです。アマゾンの評価は五つ星ですね。

道具としてのファイナンス道具としてのファイナンス
著者:石野 雄一
販売元:日本実業出版社
発売日:2005-08-25
おすすめ度:5.0
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