マクドナルドは何故業績悪化したのか?のその2です。

その1はこちら↓

マクドナルドは何故業績悪化したのか?(その1)


業績悪化は、「価格戦略の失敗」が大きな原因だと考えているわけですが、マーケティング巧者のマクドナルドが何故に価格戦略を失敗してしまったのか?そもそも「価格戦略の失敗」とはいかなる事象かを考察してみたいと思います。

価格戦略の失敗、それは、売上の減少に歯止めがかからず、顧客ニーズを取り違えたか、ブランド力に過信しすぎたのかはわかりませんが、いずれにせよ最終手段である値上げを安易にしすぎたということであると思います。

では、何故、値上げするに至ったのかについて、過去を振り返り売上に注目しながら考察してみたいと思います。
 
飲食業の売上構成の基本は、「売上=客数×客単価」です。ようは売上をあげるためには、沢山お客様に来てもらうか、客単価をあげるかしかありません。

マクドナルドが絶好調の時は、ビッグアメリカの展開ごろでしょうか。魅力的な新商品によりメディアでも話題になり、マクドナルドから足が遠のいていた人もマクドナルドに訪れるようになった。これにより客数が激増した。さらには新商品は相対的に価格が高め、となれば、当然売上は伸びます。定期的に期間限定・数量限定の新商品を出す、これにより客数が伸び、売上も伸びるの好循環が続きました。
 
成長を義務付けられているマクドナルドは、新商品だけでなく、伝家の宝刀「ビッグマック200円」や「ポテト100円」など、期間限定キャンペーンを次々繰り出しました。

100円コーヒーも、客数増加の1手でしたね。 このマックコーヒー戦略は客数増加という視点では大成功しました。

昔々のマクドナルドのコーヒーは飲めた代物ではありませんでしたよね。常に酸化した不味いコーヒーをだすのがマクドナルドでした。これを一新して100円クラスとしては極めて秀逸なレベルのコーヒーを出すようになった。

これは、客数を増やすために、当時のドトールの客層を取り込んだ。ポイントは「ドトールの客層」であり「スタバの客層」を取り込むことに本腰ではなかったこと。

ドトールは、基本的にコーヒーを提供している業態ではなく、「時間」を提供している業態。タバコを吸いたい人もいるでしょう。仕事の合間時間を過ごす人や待ち合わせに使う人もいるでしょう。そうした客層が、マックに流れる。つまるところ、マックはマックに対してハンバーガーではなく「時間」を求める多くの顧客を増やしたことになります。Wi-Fiもつながりますし、電源もある。そうした客層のニーズに対応する努力をマクドナルドはしてきたのです。これが、今の苦境の要因であると思います。

新商品や、ビッグマック200円、ポテト100円といったキャンペーンがうまく結果につながっているうちは気が付きにくいところですが、徐々にそうした手立てが全く効かなくなってしまい、マクドナルドが迷走しはじめたのです。

新商品やキャンペーンで客数を維持できなくなってしまい、とった手段は、強引な客単価のアップ。例えば、1年前くらいに「コーヒーお代わり廃止」がありましたね。

これも、客数×客単価の視点で考えると合点がいきます。

コーヒーをお代わりされて長時間滞在されることは、新たなお客さんが入りません。つまり客回転率が下がるってことです。客数を増やすために、食べたら出て行って欲しいのです。そのためのコーヒーおかわり廃止です。

客単価の低い顧客を排除し始めたのです。コーヒー以外にも、割引クーポンの乱発もしなくなりました。全店全時間帯禁煙化の動きも、世の中の流れでというより、マクドナルドとしてコーヒー1杯でタバコを吸って長居されたくないという意図のほうが強いように思います。

これにより自らの戦略で囲い込んだ、マクドナルドに時間を求めにくる客層を一気に見放し、そうした客層は一斉に足が遠のいた。客数が激減しているのは、当然の結果といえます。

低単価顧客を手放しても、すぐには客単価があがらない。もはや、新商品やキャンペーンで顧客を増やすことができずにいるわけです。

そこで、セットメニューを頼んでもらおうと、単品メニューの設置を辞めました。これは、レジでのスピードアップは建前で、何も考えずセットを頼んでもらい、客単価をあげようとしたことが見え見えでした。

それでも、客単価はあがらないどころか、手前の都合ばかりで消費者の利便性を無視したため、非難までされるようになる。

歯止めがきかない客数減、売上減に、マクドナルドとしてどうして良いかわからなくなっていたのでしょうね。そして、最後の最後の手段として、既存商品の値上げですよ。当然値上げは消費者の理解納得は得られず、更に客足が遠のく結果になる。

それが今のマクドナルドの現状。

ここからどうやって復活するのでしょうか? 

気が向いたら、どうやったらマクドナルドは復活できるかを考えてみたいと思います。
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