新卒で入社した会社は中堅中小企業向けのコンサル会社でした。そこでの経験、そして学んだことが自分自身の礎になっていることは間違いありません。今は無くなってしまっている会社ではあるのですが、成長できる環境を与えてくれたことに感謝しかありません。

そんな会社から教えてもらったことは多々あるのですが、最近ふと「魔法の6質問」ってやつを改めて確認することがありまして、ついでなのでブログネタにしておきたいと思います。

コンサルティング営業などでは必須のテクニック。テクニックというと何か小手先感があるのですが、小手先ではなく、王道のコミュニケーション手法です。 

何かしら営業する際に、物売りにならないための技術と言えるかもしれません。営業が出来る人っていうのは、自然とこの質問手法を習得している、そんな6つの質問です。

Question
魔法の6質問とは、

1) 目標を確認する質問
2) 目標の背景を確認する質問
3) 現状を確認する質問
4) 目標に向け実行していることを確認する質問
5) 現状の満足度を確認する質問
6) 確認の質問

以上の6つです。簡単なのですが、これが人対人になると難しいのです。なぜ難しいかというと、1)〜5)について、相手から信頼され本当のことを話してくれないかもしれないから難しいのです。

初対面の人が、自身にとって重要なことを洗いざらい話してはなかなかくれませんよね。ゆえに、この質問に入る前に、一定レベルの信頼を得てからでないといけません。その信頼は、個人としてなのか、会社としてなのか、場合によって違いますが、とにかく、「この人には話しても大丈夫そうだ」という関係がなければ、それこそ小手先の話になって、何の成果も得られません。

そしてもう一つ難しいことがあります。それは困っているといいながら、明確に目標を持っている人は意外と少ないことです。漠然とした不安をもった人の相談対応ほど難しいものはありません。その人自身の根源的な不安や、その不安が解決するためのレベル感(=最低限の目標)を確認するところから入らないと、上記の質問の魔法の効力は全くありません。

ゆえに、1)2)に注力することがポイントになりますでしょうか。

例え話で少し解説していきますね。

「お金が無い」と口にする人って多いですよね。多くの人が口にしなくとも、程度の差あれどお金に対しては不安や不満を持っています。

そのことを解決してあげたいと思ったところで、いきなり1つ目の質問として「どれくらい毎月収入が欲しいの?」と聞いたところで、「多ければ多いほどいい」というような類の回答になるわけです。

そんな答え方をする人は一生お金に苦労しますよね。目標は自身が本当に達成したいと思う具体的なものではないと、始まりません。 

何事も同じことです。大概困っているという人に「で、それならどうしたいの?」と聞いても、具体的ではないのです。 具体的ではないということは、実はそれは困っているフリだったりします。切羽詰まれば、目標は具体的になり、それに向け動き出すものなのです。

本気で困っていない人に対して、アレヤコレヤと骨を折るのは無駄ってものなのです。

と、少し話が逸れましたので、例えばダイエット商品を営業することを例に魔法の6質問を考えてみましょう。

1) 目標を確認する質問
 Q:「ダイエットされているそうですね。いつまでに何キロダイエットする目標なんですか?」
 A:「◯月までに△キロ落としたいと思っています」
2) 目標の背景を確認する質問
 Q:「そうですか!意外と大変な目標ですね。なぜ◯月までに△キロと決められたのですか?」
 A:「◯月に結婚式なんです。ドレスが綺麗に着られるようにするには最低△キロなのです」
3) 現状を確認する質問
 Q:「おぉ!それはおめでとうございます。ゼッタイ達成しないといけないですね。」
  「ちなみに、差し支えなければ現在の体重を教えていただけますか?」
 A:「えっと... ◇キロです...(サバ読んで伝えておこう)」
4) 目標に向け実行していることを確認する質問
 Q:「ですか〜(サバ読んでるなw)。それくらいなら全くダイエットの必要はなさそうですけど」
  「ちなみに、◯月までに△キロに向けて、どんなダイエットをしているのですか?」
 A:「***ダイエットをしているんです」
5) 現状の満足度を確認する質問
 Q:「***ダイエット流行ってますよね!どうですか、効果はでてますか?」
 A:「う〜ん。一応減ってはきているのですが、意外と大変で続けられるか不安なんです」
6) 確認の質問
 Q:「そうですか。頑張っていらっしゃるのですね。◯月までに△キロダイエットという目標に向けて、***ダイットに取り組まれていらっしゃるけれど、意外と続けるのが大変、ということなんですね?」
 A:「そうなんですよ」

と、かなり説明するために、わかりやすーく質問と回答を書きましたが、上記に書いたとおり、初めから本当のことを答えてくれるとは限りません。スムーズに本音を話してもらえるためには、話法が重要であることはもちろんですが、それよりも質問側への信頼度です。これなしには何事も進みませんので。

いますよね、胡散臭くて信頼なんてあったもんじゃないのに、向こう側は目標のこととか、現状とかを質問してくる営業さん。

「お前に話す義理なんぞ無いわ!」

でおしまいです。

ま、とりあえず、それはさておき、6つまでの質問が無事できたなら、それから初めて商品なりサービスを紹介するべきなのです。

圧倒的な商品力を有しているなら、商品説明だけで充分かもしれませんが、形の無い商品・サービスであったり、ニーズが顕在化していない場合などは、いきなり説明してもそれは単なる物売りであり、行き着くところは押し売りになります。

それを防ぐためにも、魔法の6質問は身につけておいて損は無いと思います。

身につけたからといって、プライベートな男女間で使うことはあまりおすすめはしません。女性が男性に困ったと相談するのは解決して欲しいからではなく、共感して欲しいだけなので、そんな相手に魔法の6質問などしたら、途中でキレられるだけです。ご留意ください。

ちなみに、この魔法の6質問のSPIN法ってやつをベースに作られています。

詳しくはこの辺りの本を読んでおけばOKかと。



営業の「聴く技術」―SPIN「4つの質問」「3つの説明」
古淵 元龍
ダイヤモンドセールス編集企画
2001-10

 

 


ということで、こちらからは以上です。 
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