ようやくメディアでは下火になってきた天下の電通さんの東大卒女性社員が自殺した問題、民放は大人の事情で積極的に報道できなかったようですが、NHKさんは積極果敢に切り込んでいましたね。

電通さん、吊し上げられ、変革せざるをえない状況に追い込まれている様子。そのしわ寄せは下請け企業に間違いなく行くことになりそうですが、それは今回置いておいて、その変革に向けた1つとして、かの有名な「鬼十則」を社員手帳から削除するらしいです。

電通、「鬼十則」手帳から削除へ −Reuters(11月17日)−
http://jp.reuters.com/article/idJP2016111701001685

鬼十則、これはいわゆる社訓で、企業が社員に求める行動規範のようなものです。表現は過激ですが、内容の本質は多くの企業経営者にも共感されるところあり、参考にして似たような社訓がある会社もあるほどで、電通以外の多くの人が知る有名な社訓です。

参考までに、その内容を転記しておきますね。
鬼十則
1. 仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。
2. 仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。
3. 大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。
4. 難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。
5. 取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。
6. 周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。
7. 計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。
8. 自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。
9. 頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。
10. 摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。
今回、この鬼十則は電通社員が共有すべき働くうえでの基本的価値観といえるものなのですが、それが今回の社員自殺の遠因となっているということで、削除されるらしいのです。

いずれも働く上でとても大切なことを言っていると思うのです。言い回しが少々時代にそぐわないなら、修正したら良いと思うのです。

話は変わり、いわゆるブラック企業問題について。

ちと過敏になりすぎているように思うのです。

例えば、この鬼十則を読んで、全く共感出来ない人、否定的な意見を持つ人がいることと思います。どちらかと言えばそれが世の中の主流派なのかもしれません。

共感出来ない、否定的ならば、その会社を離れれば良いだけなのに、辞められない人が追い込まれていくのですよね。

不運にも、鬼十則に共感することが出来ないのに、それを強要するような会社に入ってしまった人、辞めたくても辞められない人のために、何か救済保護策は必要不可欠だと思います。世の中の制度というのは、基本弱者保護であるべきかと思いますので。

一方で、世の中は、鬼十則に強い共感を覚える人たちによって成長を牽引されているとも思うのです。なぜなら、そうした人は、猛烈に働きます。そして、当然ながら仕事で鬱になり自殺なんかもしない。

電通のこれまでの成長は、鬼十則に共感できる多くの社員によって作り上げられてきたという側面はあると思います。

しかし、全ての人がそうあるべきだとは思いません。そうした人に同じ価値観を強要するからブラック企業問題というものが起きると思っています。

今回の電通の事件は、結果として企業の価値観を被害者に強要したがゆえに起きた悲しい結果なのではないかと。

いわゆるブラック企業と言われる会社であっても、その会社が大好きで一生懸命働いている人も多数いると思うのです。それは、そのブラック企業と言われる会社の価値観に共感しているから。

それはそれで良いですよね。そうした人たちを否定する理由は何もないと思います。

ただ、全ての人がそうではない。共感できる人は決して多くないということで、本来ならば、共感出来る人を集め成長していくことが好ましいのですが、そうした人ばかりは採用できないので、共感出来ない人を甘言で誘い込み、価値観を強要し、求めていない長時間労働を強いる結果になるのですよ。

ま、そうした企業は、きちんと資本自由主義経済の下で、健全に駆逐されていくようになるのが好ましいのですが、しぶとく生き残るので、ある程度法律でなんとかしないといかんですね。

会社が大きくなるというのは、1つの価値観に固執せず、成長にあわせ企業風土や文化、制度を柔軟に変化させるということなのかもしれません。電通も、グローバル企業を目指す上で必要な過程なのかもしれませんね。

そんなことを考えさせられた今回の鬼十則削除のニュースでしたよ、てことで長くなったのでこれくらいで。




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